スプリング


 いきなり映画をたくさん借りてきて、六缶パックのビールをテーブルに乗せてソファに座り込む。そうなると雅貴はてこでも動かない。尿意と映画の終わりだけが雅貴を動かせる。月に二度あるかないかの突拍子もない行動にいちいち驚く気力も持ち合わせていないので、おやすみ、と一言だけ残してリビングから移動した。
 任侠、アクション、特撮、アニメ、ジャンルは問わないけれど、雅貴が選ぶ映画は全て邦画だった。最近借りていた映画のタイトルを思い浮かべて、別にハリウッド映画を借りてきたっていいじゃないか、とは思う。寝室のドアを開けた瞬間に「お休み」と雅貴の声が聞こえたような気がした。返事をするのが遅すぎる。

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