暇? と、電話に出た瞬間に問いかけられる。暇か、暇ではないか、と言えば暇だ。見張りがあるわけでもなし、子供たちは寒いからと家へ帰っていったから子守も必要ない。
俺たちにとって家とは、外の世界の立派な『家』とはくらべものにもならない、テントとか、廃屋とか、地下道とかビル影とか、そういった『家』のことだ。小さかったころはそんな場所ですら安全と明日の生は保証されていなかった。ましてや、携帯電話なんてものを手にする余裕なんて大人たちにすら存在していなかった。連絡手段は会いに行くか所定の場所に暗号を残すか。どれも保証のない方法だ。それが今や電話一つで済むのだから、豊かになったと言える。