まっさらな話

「本当にまっさらでキッレえな戸籍をな、俺はようやっと手に入れたんだ」
 岩西は真面目くさって俺に言う。そうかよ、返事をしてソファに沈み込むと岩西は慌てて、それがよ、おい聞いてくれと俺の肩をゆする。机にぶつかってシジミが揺れた。ァンだよ、睨み付けるとパッと手を離して、「その戸籍、俺には若すぎるんだ」という。年は二十を過ぎたころ、風体は優男でまあまあいい顔をしている。俺にはちと勿体なさすぎる。岩西は分を弁えて、それから戸籍の情報をぐしゃぐしゃに詰め込んだ紙切れを、ほれ、と俺に差し出した。受け取る気はない。

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