恋とか愛とか、そういうものは一度きりで十分だと考えている。それは神と崇めるべくして一人の男に出会ってからも変わらない。彼に出会ったのは一つの恋の終焉と同時だった。有体に言えば恋人が悪徳スカウト集団に拉致られて、遊ばれて、壊されて。そういう、よくある路地裏の出来事に巻き込まれたのが発端だった。
そもそもスカウトならば、女を壊してしまうのは本末転倒である。不幸なことに恋人はいくつかの条件から外れてしまい、不要なものだと捨てられたのだ。光満ちる空間からずるずると落ちて、ようやく彼女だったかけらを見つけたときには、人というものの形が抜け落ちていて、荒れた肌、抜ける髪、割れた爪、大凡尊厳というものは存在していなかった。
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贈り物
カイトさんをお借りしてもよろしいですか。タブレットを手に問いかけたコウを振り返って、キジーは首を傾けた。緩やかに三十度斜めにずれた視点を見つめながら、もう一度コウが同じ問いを口にする。
「この後、カイトさんをお借りしても?」
「カイトのことなのに、どうして私に聞くのかしら」
「……カイトさん、というよりもですね」
視線が周囲を確認して、キジーに耳打ちをする。この後残るのがエナリとシムラなんです。途端に分かりやすくキジーの表情が歪む。言わなければよかったかとため息をついたところで、休みにもかかわらず職場へと顔を出したビトウを確認した。――勤勉なことだ。たとえ目的が女漁りであろうと知ったことか。
君の名を呼ぶ
ロッキーが呼び戻した二人は、どこからどう見ても対照的だった。甘い声で美しく笑う彼女と、思い出したかのように表情が少し揺れる彼。二人の姿は寄り添うというより、並び立つというほうが相応しい。コウは二人の姿は一つの終着点である、と考えている。
「どうしたの、コウちゃん」